2020年10月21日(水)

▼伊賀市の岡本栄市長側の意向で知事との「一対一対談」は平成26年8月が最後らしい。意味がないということだったのだろう。公開の場で両者が対談するのは同27年7月のミラノ万博以来。今回の対談は岡本市長の要望で実現した

▼県が制定を急ぐ性的少数者(LGBT)等への差別禁止条例案に同性カップルを認める「パートナーシップ制度」を加えるよう求めるためで、身を乗り出すように訴える岡本市長に対し、鈴木知事はいくぶん反る格好であることを報道写真が伝えている。大事を成すには平時の積み重ねが必要と岡本市長は思ったかもしれない

▼鈴木知事も「(伊賀市の同制度は条例でなく)規則か要綱かでやっておられる。申請はしてみたけども実は、ということがないように」(平成28年5月知事会見)などと皮肉を言う余裕はなさそう。県条例案は性的指向を暴露する「アウティング禁止」が目玉だが、成案を前に当事者はじめ県議会からパートナーシップ制度導入の意向が強く寄せられている

▼知事は当初、同制度は「住民登録とか市区町村の仕事」とかわしてきた。が、県営住宅入居や県立病院入院などへの影響もあり、市町固有の事務とは言い切れなくなった。「人権の問題ですよ」と岡本市長に押しまくられて体が浮いて反り加減になり「説得力のある言葉をいただいた」と言わざるを得なくなったかのよう

▼「完璧な答えはない」と応じたのは徳俵に足をかけた図か。「総合的」「俯瞰的」と同様、何にでも当てはまるが個別、具体性のない言葉で踏みとどまるつもりかもしれない。