2020年10月2日(金)

▼孔子は「過ちては改むるにはばかることなかれ」と言った。体裁や体面にとらわれるな、という戒め。公共工事の立ち会いで、一部の内水面漁協にだけ「報償費」を支払っていたことについて、県の県土整備部理事は「長年の慣習。いきなり廃止ではなく、十分に関係者と意見交換をしたい」

▼孔子いわく「過ちて改めざるこれを過ちという」。「なぜ廃止していないのかを精査させている」と鈴木英敬知事。「問題をしっかりクリアにできないなら説明が難しいと思う」とも。早くも予防線を張っている気がしなくもない

▼桑名市が桑員河川漁協に支出していた「補償費」名目ではなく「報償費」としているのがさすがだ。「報償」とは「損害をつぐのうこと。仕返し。報復。返報」(広辞苑)だが、「報償費」となると、官公庁の会計項目で機密費と同義。謝礼や賞金など中身は多様だが、内容を明かさなくてもいいという解釈がある。知事の〝予防線〟も、それを踏まえてのことかどうか

▼桑名市が補償金などの名目で桑員河川に支払っていたのは約5700万円。「長年の慣習」の県の報償費はどのくらいになるか。開発業者に「漁協の承諾」を指示する桑名市の指導文書は確認されている。「請負額の千分の一」の協力金を内水面漁協に支払うことで同意する内部文書を稲森稔尚県議は入手したという。構図は同じということだ

▼「不当要求を根絶する取り組みを検討する」と真弓理事。換言すれば「不当要求を促す行政指導の痕跡をぼかして撤退する方法を検討する」か。「改むるにはばかる」にも理由はあろう。