2020年9月12日(土)

▼三重県発注工事で予定価格を誤り、本来落札した可能性のある業者とは別の業者が落札した。すでに契約済みで「(その業者が)契約の継続を希望している」という理由で工事はそのまま進めるという。ルールなどお構いなし、正直者はバカを見る、ということだろう

▼開札直後に入札参加業者から誤りを指摘されたが、落札を強行して契約した。再度の指摘で誤りを把握したという。「開札直後の指摘に具体性はなく、当時は誤りを把握できなかった」と県。具体性がなかったのは、指摘した業者か、指摘を無視した県か

▼県議会棟や県警本部庁舎など大型工事の発注が三件重なったことがある。県は指名業者を上位から順に10位ずつに3グループに分けて公募したが、上位10位グループは他の工事への選択ができなくなる。当時の出納長(三役)や議会からやり直しの声が相次いだ

▼その数年前の防災センター汚職事件のあおりで発注担当部門、営繕課が土木部から総務部に移管されていた。慣れない総務部責任者が下からの提案をそのまま承認したためで「業務に精通するやつら(営繕課)がなぜあんな仕切りをしたのか」と首をかしげたが、やり直しはしなかった。さらに混乱して収拾がつかなくなることを恐れたのだ

▼営繕課への疑惑はうやむやになった。今回は「来季の農業に支障を来す」ため再入札しないという。積算の誤りや入札会場での指摘の無視など、公平公正な行政が有名無実になったことは問われないのだろう

▼計画通りの執行は大事である。正しい手続き踏まえて―が前提であることは言うまでもない。