<まる見えリポート>鈴鹿市の社協コロナ融資申請が県内最多

【相談者(右)の話を聞きながら、申請書の記入について説明する通訳と社協職員=鈴鹿市神戸地子町の市社会福祉センターで】

各都道府県社会福祉協議会が、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で生活資金に困窮する人たちを対象にした無利子の資金緊急融資で、鈴鹿市が県内最多の申請数となっている。ゴールデンウイーク以降は、市に住民登録がある外国人からの申請件数が増加しているという。 全国的な感染者数増加の中、当初は7月末までだった申請期間が9月末まで延長となり、さらに申請者数の増加が見込まれる。「第2波が来ると、もっと長期的に困る人が増えてくる」と同市社会福祉協議会企画総務課総務管理グループの廣田祥基グループリーダー(39)は危機感を募らせる。

鈴鹿市の世帯数は8万2056世帯(令和2年5月1日現在)で、四日市市、津市に次いで3番目の規模。同市社協によると、貸付は休業者向けの緊急小口資金、失業者向けの総合資金援助の2パターンあり、受付開始の3月25日から7月末現在までの申請件数は、のべ1373件。そのうち外国籍は659件。廣田グループリーダーは「最初は日本人の申請が多かったが、2カ月ほど前から相談に来るのははほぼ外国籍の人。ペルー人、ブラジル人が外国人全体の8―9割くらい」と話す。外国人の申請件数も県内最多。廣田グループリーダーは「外国人数が県内一というわけではないので、鈴鹿は下請け、孫請けの企業や派遣先が多いのかも」と分析する。

市内申請者を全体的に見ると、日本人は50代が多く、職業は飲食業やイベント関連の自営業などさまざま。一方、外国人は40―50代が多く、職業は工場関係の派遣が多いほか、母子家庭の申請も目立つという。

市社協では現在、1日約50件を対応。娯楽室を相談コーナーに変えて、6カ所で面談するが、それでも足りずに空いている会議室などを使うこともあるという。職員15人が総出で対応し、通訳も1人では足りずに、さらに1人追加した。廣田グループリーダーは「聞き取りや申請書の記入など、日本語がうまく通じずに時間が掛かる場合も多い」と話す。コロナ対策で相談は予約制だが「朝から申し込みに並び、長い人で2時間くらい待つ人も居る」。

初めて申請に来たという市内のブラジル国籍ルシマル・フェレイラさん(50)は、部品検査工場に勤務する。「1カ月に10―18日くらいしか仕事がない。残業も無くなりこれからどうなるか分からない」と不安な表情を見せ、「車の税金も払えない。母国にいる子どもに生活費が送れないことが親として苦しい」と話す。

市社協は相談者の不安解消に向けた独自の取り組みとして6月から「新型コロナ対策緊急助け愛募金」を始め、寄付金でカップラーメンや缶詰、米など1週間分の食糧をまとめた支援セットなどを作り、必要な人に配布。これまで139件(7月31日現在)に支援した。

市民団体も支援に乗り出している。6月に社協の外国人支援ボランティア団体として登録した同市寺家3丁目のシーガーデン多文化共生サポーター(タカダ・カズコ代表)もバザーや相談会の開催などで活動する。フェイスブックなどのSNSを通じて情報を発信するが、タカダ代表(65)は「本当に困っている人はスマホも持てず、情報が届かない。それが心配。行政と協力できれば」と話す。一方で「支援のための資金も必要。どう調達するかが課題」と活動継続の困難さも打ち明ける。

廣田グループリーダーは「募金の1次募集は今月末まで。2次募集では制度から外れた人、頑張っているのに仕事が見つからない人などにも幅広く支援が届くような新しいかたちを検討している」と話していた。
【相談者(右)の話を聞きながら、申請書の記入について説明する通訳と社協職員=鈴鹿市神戸地子町の市社会福祉センターで】