2020年6月24日(水)

▼ペルー国籍の6歳女児が母親の内縁の夫からの虐待で死亡した四日市市の事件について、県は姉の一時保護で「終結ケースとしていた」として「県が終結ケースとした後も、市町が一定期間は継続的に見守る必要がある」などと議会常任委員会で報告した

▼言い回しのニュアンスは分からないが、問題の少なからぬ責任は継続的に見守らなかった市町にあり、と言っているようでもある。「終結ケース」という新語を持ち出すなど、説明をさせたら右に出る者がいない県の知恵の泉に改めて感心させられる

▼市町職員の人材育成や、転居先の市町が就学状況などを把握するガイドラインを作成する―が、第三者機関の検証委員会の報告を踏まえた県の〝対応〟ということらしい。「児童相談所職員の専門性の向上、市町との連携強化等の課題を明らかにしました」というのは平成22年に鈴鹿市で発生した6歳男児虐待重篤事例の検証委報告を踏まえ、県が同年度の「基本事業目的評価表」に記載した〝対応〟だ

▼10年を経て全く同じではきまりが悪いから「児相職員」を「市町職員」に変えたのが知恵の見せどころということだろう。この時も、姉が一時保護されていた。姉が暴力を受けていれば、よりダメージが大きい年少児の存在を気にかけることと検証委は提言している。内縁の夫など男親が異なること、転居を繰り返すことなどが児童虐待事例の一つの危険な兆候で「珍しい例ではない」とも

▼十年一日とは、進歩がないことの表現。「姉の一時保護で終結」ではむしろ後退だが、県としては珍しいことでもない。