2020年6月21日(日)

▼鹿児島県が国民体育大会の年内開催を断念して来年への延期を発表したことを受け、伊勢新聞は1面と社会面に県内の反応を掲載した。1面は鈴木英敬知事の、社会面はスポーツ関係者の反応である。見事な対称形に苦笑させられた
▼「鹿児島県や選手のことを考えると、開催が近い県の知事として、わがごとのように心が痛む」と鈴木知事。改めて「日本全体で影響が最小となるような答えを早く導き出してほしい」と希望し、県は来年開催の予定通り準備を進めると語った
▼社会面では、県内競技関係者が年内中止に落胆していた。高校指導者は出場できずに去る3年生の心中に思いをはせ、バスケットボール成年女子チームの監督も「選手らに少しでも多く試合を経験させてあげたかった」と残念がり、公式戦の重要性を強調して地域レベルの代替大会の開催を切望した
▼来年の県開催への影響を心配する声もあるというが、まずはアスリート第一の善後策に思いを巡らす。一方知事は選手にも気を配っているかに見えるが具体的提案はなく、鹿児島県の出方と来年の行方に関心が集中している。県の態勢や、有力選手の採用を要請してきた協力企業・団体への対応が気になって仕方ないようだ
▼鹿児島国体が来年へ延期され、県の来年開催は予定通りというのは矛盾するが、知事は「いろんな案がある」。具体案を示さないのは「予断を与えかねない」のと「対立構造を生むべきではない」ため。要は、そうなりかねない案だということだろう。会見の数を重ねるごとに、鹿児島県への気遣いが細やかになる気がする。