2020年6月14日(日)

▼「何かしらの必要性があってのこと」と推測して10期のベテラン中川正美県議が県議会一般質問で国土交通省から4月に赴任した県土整備部長に使命を尋ねた。同部長は、災害の多発化を受けた社会資本整備の見直しなどを進める決意を示した

▼何の変哲もないやりとりだが、退職部長へのはなむけ以外で、県議会が人事について質問するのは珍しい。異例といってもいいかもしれない。個人に対する機微に触れかねないため、質問の意図をむき出しにすることも遠慮される。質問すること自体に「何かしらの」意図が推定されるのだ

▼国から本年度派遣されるもう一人の部長(雇用経済部長)がまだ赴任していないのも異例だ。国の人事は国会が終わる6月が慣例で、県の年度初めとは食い違う。4月人事を維持するため綿密に調整されてきたが、県の面目をあっさり放棄した形だ

▼県の発表では国からの招致は6年ぶり。中川県議の指摘では16年ぶり。10年の誤差ぐらいまあいいじゃないかということかもしれないが、県土整備部長ポストはかつて国土均一を大義に人事を握る国交省と、生え抜きを目指す県とのせめぎ合いの場だった

▼当時は専門職員ら全国を回っていたが、今回は本省から。鈴木英敬知事は「国と対峙するのではなく、連携することが大事」。形は変わっても、ということか。「何かしらの必要性」ということか

▼厚労省からの課長を含め、4月着任が踏襲された中で、経済産業省からの雇用経済部長が6月予定。知事の出身官庁からだけがというのも「何かしらの必要」が気になるところではある。