2020年6月4日(木)

▼津市郊外の運動公園を縦断する道路で5月末、女性警察官が1人通過車両を見張っていた。横の駐車場にパトカーが1台。時節柄、車そのものが少なく、1時間ほどで停止を指示したのは1台だけ。窓越しに運転者に話しかけただけだった

▼スピード違反取り締まりのようではなし、シートベルトにしても少人数。スマホのながら運転警戒か、横断歩道の一時停止チェックか。警察官も暇だなあと思ったが、いやいや、なかなか大変な仕事と思い直した。交通死亡事故多発で県警が3日間の緊急対策に乗り出したのは3月17日。直前の15日現在で死者数は対前年比8人増の22人。対策後の25日は同10人増25人

▼2カ月強を経て2日現在、同12人増38人―は当局の奮闘努力のたまものと言えるかどうか。道路横断中が多いことが今年の特徴という。横断歩道の一時停止が全国ワースト1だが、横断歩道の白線や前後の徐行マークがその後見やすくなったようでもない。思いやり運転を求めるほど、思いやりのある設備整備になっているか

▼乗用車とタクシーが衝突し、5人が死傷した事故の裁判員裁判が始まった。危険運転致死傷罪を巡る争点とは別に、事故後封鎖された現場の中央分離帯開口部が放置されていたことに問題はないか。津市の国道23号では沿道の商店新設で簡易閉鎖した箇所はいくらもある。違いは何か

▼死亡事故が一向に減らない全国まれな県でもある。事故撲滅の啓発や運動はむろんだが、施設が安全に機能しているか。想像力を全国に抜きんじて発揮し、整備することが望ましい。