2020年5月13日(水)

▼汚職事件などを扱う県警二課畑から署長に昇進して「これからは市長ら市有力者らとどう仲良くしていくかが仕事だ」と古い友人に苦笑いしたという話がある。三重ごみ固形燃料(RDF)発電所爆発事故では、県警OBである消防長が率いる桑名消防本部の責任について、県警の取り調べに疑問が取りざたされた

▼警察官も人の子である。昔、民族団体代表が鈴鹿市政の問題点を列記した文書を配布して当時の同市長から告訴された事件では、鈴鹿警察署長が決して取り下げないことを条件に受理したといわれた。筋はよくなかったが、退職後の鈴鹿消防本部消防庁のポストという見返りが魅力だったともいわれた

▼市長人事ではあったが事実上、県警本部の推薦による選考で、予定された同期生を出し抜く狙いがあったとされる。市長の内意を受け、人事課幹部が刑事部長OBである消防長へ勇退の打診に行ったが「自分は県警から言われ着任している。一存では返答しかねる」と跳ね返され、不調に終わった

▼のち本紙が当時の事例などを縮刷版にしたが、元消防庁が本社に購入に訪れた。大変でしたねと声を掛けたら何やら一言、二言。不快そうな顔をした。検察官も人の子であることは、検察ストーリーや激しい権力闘争の歴史が物語っている

▼検察庁法改正案の審議で、安倍晋三首相は「恣意的な人事が行われるという懸念はあたらない」と述べた。黒川弘務・東京高検検事長の定年延長をまず閣議決定したことが恣意的人事の可能性を物語るが、時の政権の都合で独り歩きすることも法の持つ固有の性質である。