2020年4月18日(土)

▼危機に直面した時、人の真価が分かるという。マスク買いに奔走し、消毒液、体温計を求めて右往左往し、トイレットペーパーやパスタの備蓄にスーパーを回る。外出を控え、休職し休校の子どもと過ごす。そんな懸命の大方の県民にとってむなしさを感じることが多くないか

▼例えば「緊急事態宣言」の全国拡大に対する鈴木英敬知事のコメントである。「なんとしても感染拡大を止める総理の強い決意だと思う」というのだが、7都府県に絞って発令した時もそうだったに違いない。結果は感染が拡大し、地方は独自宣言を出し、国の方針に事実上のノーを突きつけた。全国拡大への手放しの評価は、むなしさを感じさせないか

▼ついに―と言っていいかどうか。四日市市で死亡した会社員が新型コロナウイルスに感染していた。発熱で医療機関で診断を受けて自宅療養し、8日後に死亡。その後ウイルスが検出された。死因も感染経路も明かにされていない中で、市は基礎疾患があったとして「感染が原因で死亡したとは断定できない」。ほかに言うことはないのかという気がする

▼宣言の全国拡大を受けて愛知県担当者は「既に国の措置を網羅した内容で動いている」。今さらなにを―みたいな鼻息だが、県をまたぐ人的往来は盛ん。「毎日、名古屋から面接や応援だと言って人がやってくる。いいのか」というのは13日に県も関係する医療関係施設従業員から寄せられた不安の声だ

▼措置を網羅するとは何か。措置を講じることと、措置が浸透していることとはまた別のことに違いない。むなしさが募るのである。