2020年3月13日(金)

▼県議らが上程した「県食を担う農業及び農村の活性化に関する基本計画」の修正案について、前田茂樹農林水産部長が「特に意見はない」。恐れ入りましたなのか、ふてくされたか

▼修正は、国の基本計画にある「家族農業に関する記述」が、県の計画からは抜け落ちていたという。農業県を率いるリーダーとしては何らかの釈明、説明責任も必要なのではないか

▼県に家族農業に対するこれといった施策はない。もともとは、国に施策がないからである。専業農家への農地集約、大規模農業が奨励されてきた。県はほとんどが兼業農家。県農家への施策はないようなものだった。だが、日本の農業経営体約138万体(平成25年)のうち98%は家族経営体でEU、米国も同じ。世界の食料生産の8割は家族農業が担う

▼その農業経営が後継者不足、耕作地放棄などで疲弊が止まらない。人口減少、産業構造の変化などが指摘されているが、家族農業維持の施策がないことも影響しているに違いない。安倍政権が推進し鈴木英敬知事が促す農産物の輸出額は7年連続上昇したのものの伸び率は鈍化し、目標1兆円にはとどかなかった

▼一方の国内農業総産出額は4年ぶりにマイナス。輸入額も減少しているとはいえ輸出額の10倍。食料自給率目標は5%ダウンさせ、しかも輸入穀物飼料を算定から外した。大規模農業一辺倒は曲がり角にきている

▼5年前の国際家族農業年に県は動きがなかったが、国は国連「家族農業の10年」(2019―2028)に向け、風向きを変えたか。県はうかうか、乗り遅れたのかもしれない。