大観小観 2020年2月3日(月)

▼パラリンピックよ、お前もかという気がしたのは、国際パラリンピック委員会(IPC)が自身の定めた障害の基準に順守していないとして、東京パラリンピックの実施種目から除外する可能性があると国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)へ通告したこと。すでに次回パリ大会の除外を決めている

▼国際オリンピック委員会(IOC)が商業主義の観点から実施種目を取捨選択している。IPCの場合、公平性の確保という違いはあるが、出場権を人質にしていることには変わりない。組織の存続や主張を通すために、アスリートの気持ちは二の次ということで共通しているように映る。パラリンピックにオリンピックの醜さを見たくはなかった

▼車いすバスケは激しさが人気の主因。激しさを維持、向上しようとすると軽度の障害者の活躍に頼ることになる。IPCとIWBFとの軽度の基準を巡る対立が1年半以上続く。業を煮やしたIPCが権力の行使に踏み切った形だ

▼パラリンピックは障害者スポーツの祭典だが、障害者スポーツすべてが結集しているわけではない。知的、精神障害スポーツはほとんどない。サッカーも脳性麻痺とブラインドサッカーだけ。手足の切断や聴覚障害はない。障害は千差万別。うち定められた障害で、程度分けできる場合のみが実施種目になる

▼リハビリから出発した障害者スポーツはアスリートとして認知されることで社会的地位を確立しつつある。オリンピックと同じ道をたどるのか、分岐点にさしかかっていることを思わせる。原点を忘れずにと願わずにいられない。