<地球の片肺を守る>新年から冠水、抗議デモ

明け方の豪雨で道路が冠水し大渋滞のキンシャサの街

新年、明けましておめでとうございます! 読者の皆さんは、今年の年末年始は、どのように過ごされましたか。私は家族そろって日本に短期帰国し、伊勢の実家の年老いた両親と紀州の温泉に行ってきました。松阪の焼肉、鳥羽のお刺身など地元のおいしいものもたくさん食べましたが、結局一番おいしかったのは、ピカピカの白いご飯とダシの効いたおみそ汁だったように思います。

帰路は乗継地のバンコクで、コンゴでは手に入りにくい生鮮食材を買い出して(外務省資料によると、バンコクは日本人が約5.5万人在住。日系スーパーもあります)、スーツケースや段ボールなど山のような荷物を抱えて、1月上旬に、ここキンシャサに戻ってきました。

キンシャサに到着した日の気温はなんと30度! 年末年始の短い間に時差8時間、気温差20度を超える地域を往復し、1歳児の長男含め、家族全員が目を白黒させての正月休暇となってしまいました。

こちらに帰って1週間ほど経ちましたが、まだ少し時差が抜けきっていません。明け方四時頃に目が覚めると、雷や突風を伴った激しい雨が降っていました(こちらは雨期の真っただ中)。その翌朝、都市インフラの整っていないキンシャサでは至る所で水があふれ、大渋滞が発生していました。そんな中、接触事故にヒヤヒヤしながら、往復1時間半以上かけて娘をインターナショナルスクールまで送りとどけ、職場へと急ぎました。

職場では早速、次官や同僚に新年のあいさつに行きました。今回のお土産は日本の100円ショップで買った卓上カレンダー。日本の祝日が赤くなっていますが、これは仕方ありません(笑)。執務室に戻って、山のようなメールをチェックしていると、建物の外が大変騒がしくなっていました。窓からチラッとのぞいて見て驚きました。昨年末から始まったボーナス支給を求める環境省スタッフの抗議活動が、1カ月経った今でも、どうやら続いているようです。

国家財政が極度に悪化している貧困国では、国家公務員と言えども給与不払いは日常茶飯事。武装警官が周りを取り囲む中、横断幕を掲げ、シュプレヒコールを上げていました。「危ないから表玄関からは出ない方がいいよ」。アシスタントに促され、私はそっと裏口から職場を抜け出し、打合せ先に向かいました。

ワールドニュースでは、昨年世界中の注目を集めた南米アマゾンの森林火災で貴重な熱帯雨林が記録的なダメージを受けたこと、また現在豪州で発生している森林火災では人々の生活のみならず、コアラ、カンガルーなどの野生動物にも甚大な被害が出ていることを伝えています。気候変動対策が待ったなしの状況であることは誰の目から見ても明らかでしょう。

当地での年明けミッションの第1弾は、現在、最優先課題として取り組んでいる国家森林政策に係る大臣主催イベントの開催支援です。世界第2の規模の熱帯雨林が広がる「地球の片肺」には、まだその保全のための国家政策が存在していません。「日程が確定したかどうか、担当に確認してくれ!」私は早速アシスタントに指示を出しました。

【略歴】大仲幸作(おおなか・こうさく) 昭和49年生まれ。伊勢市で育ち、三重高出身。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。