2019年12月24日(火)

▼いつぞや萩原量吉元県議らが県に大気汚染監視調査を求めたのに対し「県は公害認定患者の情報を持ち合わせていない」と答えて、多くの県民を驚かせたのではないか

▼四日市公害から学ぶ『四日市学』を研究テーマとする朴恵淑三重大教授が、環境汚染先進国の日本を学ぼうと来日したのは半世紀前。四日市公害に絞り込んだが、県や市を訪ねても資料はほとんど散逸。三重大学にある程度だったという

▼研究に耐える資料はすでに県にはなかったのだ。四日市公害判決の5年前は、死の海と言われた四日市港を舞台に海上保安部の田尻宗昭警備救難課長が「公害Gメン」として活躍。工場排水を垂れ流す石原産業などを摘発。「知事は行政指導と産業振興の二つの顔を持つ」として県と企業とのなれ合いを指摘し、県職員を相手にしなかった

▼公害判決を受け県は環境行政で国をリードしたが、その条例や制度は今はない。石原産業が県認定のリサイクル製品として東海三県など広く埋め戻し材に使ったフェロシルト事件では、別に県と石原産業が二人三脚で環境保全事業団を運営し、同社の産業廃棄物を処分していた

▼四日市港汚染事件もフェロシルト事件も、県を揺るがしたカラ出張事件も今や跡形もない。7大団地とか6大団地など、ずさんな土地購入事件もうやむやのまま税金で尻ぬぐいし、RDF(ごみ固形燃料)発電事業の前の県企業庁の青山高原分譲事業も旧白山町に持参金付きで譲渡し幕引きした

▼RDF事業が今年で終わって県政史上初めて「総括」をする。おざなりとしても、県民とともに喜びたい。