2019年12月16日(月)

▼全国中学生人権作文コンテスト県大会で11人表彰。最優秀賞の三重中学校2年、川瀬彩さんの『ものの見方は一つじゃない』など三作品が朗読された

▼川瀬さんは教え方が上手な車椅子の教員の話を聞き「かわいそう」「車椅子なのにすごい」と思ったことを教員の母親から「『なのに』ってどういうこと」と指摘されて、障害者や車椅子という言葉が、自分のものの見方を一律に固定していたことに気づく内容。思い込みが「壁」や「差別」を生むとして、全国コンクールで法務事務次官賞に

▼最優秀賞は「いじめられて分かったこと(御浜町立尾呂志学園中3・南朱莉さん)」「大切な家族の存在(鈴鹿市立天栄中1・平田りのさん)」。障害者、いじめがテーマなのは他の8作品や全国の傾向

▼かつては人権作文と言えば部落差別問題が主流の一つだったが、今は見られない。同和教育実践が契機で発足した公益社団法人県人権教育研究協議会の事例研究でも部落差別研究は減少傾向で、人権問題にも流行はあるようだ

▼障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消推進法、部落差別解消推進法の人権関連三法が成立したのは3年前。深刻な現状を背景にしているが、県内市町のほとんどが啓発活動などをしていない。小中高の人権教育も、身近な問題に引き寄せて考えさせるようにしているという

▼川崎市で罰則付きヘイト条例が制定され、性同一障害者に対する国のトイレ制限に東京地裁は違法の判決を下した。難民や環境問題など、社会の現状に目をそらさせないのも、教育者自身も含めて、大切な人権問題である。