2019年12月11日(水)

▼2年後の三重とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の金メダルに、県は使用済み電子機器から集めた金属を再利用して作成すると発表した。県庁や市町に回収ボックスを設置。大会の機運醸成やリサイクル意識の向上を図る

▼「いろんな参加の形を作ることで、一人でも多くの県民に関与してもらいたい」と鈴木英敬知事。財源難との関わりはなさそうだが、前回の三重国体(昭和50年)も県の財政は切迫し、式典の赤じゅうたんを紙製にするなどケチケチ国体に徹した。巡り合わせを感じなくもない

▼県から「リサイクル」の言葉が発信されるのも久々の気がする。県がリサイクル製品に認定(平成14年)した石原産業の土壌埋め戻し剤「フェロシルト」が毒性のある産業廃棄物だと判明(同17年)するが、その間、東海3県や京都府で広く利用され、認定した県の責任が問われた。以来、県から「リサイクル」の言葉はほとんど聞かれなくなっている

▼回収が開始される15日の「みえ環境フェア」でも、温暖化や再生エネルギーが中心。県民参加型予算(みんつく予算)の候補20件にリサイクル事業の提案がないのは不思議な気がする

▼フェロシルト事件は北川県政の〝負の遺産〟とされるが、当時は産業廃棄物とリサイクル施策は表裏の関係で進められた。野呂県政で循環型社会と産廃条例へと展開する

▼産廃業者の処分、摘発が後を絶たない中で、いま産廃条例の緩和施策が進む。リサイクルが国体絡みの中でわずかに顔をのぞかせた。両者が再び一体で持続可能な社会へと歩むことがあるのかどうか。