2019年12月5日(木)

▼地方自治法改正で47都道府県も来年度から非正規職員に期末手当を支給するが、正規職員との格差是正はおろか、待遇改善にはならぬ指摘があるという。「官製ワーキングプア」の低賃金だから引き上げ幅が同じでも格差は広がる上、財源不安や月給を削って帳尻を合わせたり、雇用不安をあおるなど、あの手この手の抑制策を試みる自治体があるらしい。県も工夫を、こらしているのではないか

▼何しろ非正規職員と正規との差別の根拠について、膨大な検討をしてきた県である。他県の市でボーナス支給が合法という判決が出たことについて、県とでいかに事情が異なるか、いかなる疑問にも反論できるなどとして胸を張っていた。格差は拡大しても是正など思いも及ばずという基本姿勢なのだ

▼労働者の雇用不安に乗る職業安定所の相談員自身が1年更新の非正規職員であることをどう思うかと、労働事務次官だった村木厚子さんに質問したことは以前書いた。実態に詳しくなかったが、定数で縛られ、行政水準の維持、向上のためには非正規活用しかないとしながらも、正規の職員を要求していくよう務めなければならないと答えた。誠実な答えだとは思ったが、実現は1ミリも伴わなかった

▼鈴木英敬知事も一時、教職員に新規業務が浮上するたび非正規利用を口にしていた。便利使いが常態化し、職員として扱わす。さらに議員などの就職先探しにあてがい、恩を売る。「議員枠」の言葉もあった

▼知事以下、自分たちの待遇改善ばかりで足元の非正規を見ようとしないのでは「働き方改革」など口にできまい。