2019年10月14日(月)

▼関電の金品受領問題で、贈った高浜町元助役の人となりが取りざたされている。意に沿わない関電役員らを怒鳴りつけるなどの振る舞いが伝えられる中、平身低頭するなどの顔も本紙が報じている。多面性は人間の特質。当然ではあろう

▼出先機関に赴任して金品を贈られ、離任時に同額の土産品を返したという福井県職員の対応もまた、県職員の多面性と共通性を物語る。金品受領が同県職員にも浸透していたことは明らかになっているが、県の審議会委員など県政に影響力があって、返却などして激高されるのが怖かったと釈明をしている。影響力があると密着し、癒着と区別がつきにくくなるのが、本県にも通じる県職員の特性ではある

▼土産品職員の場合、特性はより鮮明。在任中は波風を立てず、離任時に帳尻を合わせ、後ろめたさもきれいさっぱり洗い流したに違いない。返せばいいというものではない

▼金品受領について、中部電力社長が「(関電と)同様の事象はない」と語っていた。各界各層へ浸潤していた原発マネーのキーマンが誰かはケース・バイ・ケースだが、地元自治体の元幹部ではなかったというだけだろう。日本を代表する製造メーカーの発注担当を数年務めれば贈答品で蔵が立つという話はそう珍しいことではない

▼石川県の珠洲原発計画を取材したことがある。中電と関電がそれぞれの予定地で同時に用地買収を進めていた。中電の立地担当者にはすぐ会えたが、関電の計画を説明してくれたのは住民のまとめ役だった。上っ面をなでたような取材の範囲でだが、手法の違いを感じさせた。