2019年9月20日(金)

▼統合型リゾート施設(IR)という名前を聞くと総合保養地域整備法、通称リゾート法が成立した約30年前を思い出す。これからは余暇を楽しむ時代で、観光ではなく、南仏ニースのような長期滞在型の保養地が必要で、そのための多様な施設を整備する法律。地域活性化の未来を握るとされ、日本中がリゾート狂騒曲に踊った。先頭を走ったのが三重サンベルトゾーン構想をひっさげて第一号指定を受けた県だ

▼第三セクターを中心に全国で惨たんたる結末が相次いだが、県でもセゾングループとの志摩東京カウンティや名鉄との紀伊長島孫太郎、近鉄、百五銀行など大企業が名を連ねた汐入ガーデン、パーク七里御浜など、大きな爪痕を残して次々挫折した

▼今でこそ県のホームページに名前があってもアクセスできず、地域振興策としても名称だけで空欄となり痕跡さえ見当たらないが、当時は伝統の「観光課」を「リゾート課」に変更する案も持ち上がり、議会観光議員連盟の猛反発で「観光リゾート課」に落ち着くなどした。野呂昭彦氏が国会の先導役だったが、知事就任後ほとんど語ることはなかった

▼「リゾート」という名に夢を膨らませた時代が、再び到来するのか。核がカジノという違いだけで、ホテルや劇場、ショッピングモールなど、集客施設を造るというのはスポーツ、教養、文化施設をテーマパーク周辺に設けるリゾート法の趣旨と同じ。できなかっただけだ

▼リゾート法の30年前は、県はミニ開発で沸いた。災害は忘れた頃にやってくる。狂騒曲は、30年周期でやってくるのかもしれない。