2019年9月19日(木)

▼RDF(ごみ固形燃料)発電が終了して、かねて総括する考えを明らかにしていた鈴木英敬知事がその内容について「人命が失われたことや参加市町の負担が増えたことを踏まえれば決して甘くはならない」

▼「自分ではない知事が決めたことかは関係なく、最後まで責任を持つ」という発言に特別の含みはあるまいが、野呂県政1年目に起きた大惨事であり〝北川県政の負の遺産〟という言葉が定着し、すべてが北川正恭元知事の責任に帰された感はある。業者選考の疑惑はあるが、計画自体はその前の田川県政で固まっていた。甘いか辛いかというより、なぜ県がお門違いの一般ごみ処理に乗り出さねばならなかったか。意思決定の過程をつぶさに明らかにしてもらいたい

▼市町村に無料と説明した処理費用が有料になったのは発電量が見通しより少なかったからという。参加市町村が少なかったということだろう。桑名を除く北勢と中勢がすっぽり抜け落ちている。強引な勧誘が裏目に出たり、政策的行き違いで反発を招いたり。にもかかわらず見きり発車したのはなぜか。RDFの科学的組成の研究不足も含めずさんな計画を押し進めて人的、経済的大損失を招いた。その過程も県民に説明しなければなるまい

▼RDF発電事業の前の企業庁の青山高原開発事業にしろ、中央卸売市場(現地方卸売市場)にしろ、県が理念を掲げて突っ走って成功した例はほとんどない。無残な結末がうやむやのまま幕引きされてきた。県政史上最悪の惨事となったRDF事業で県の積年の体質が公になるならせめてもの償いではある。