2019年9月17日(火)

▼「複数年にわたって養殖に影響が及ぶことは深刻に受け止めなければならない。養殖業者の声をしっかりと受け止め、対策を進めたい」と、英虞湾のアコヤガイ大量死問題で養殖業者の相談窓口を設置し、原因究明に向けて矢継ぎ早の調査を打ち出した鈴木英敬知事に対し、現地の真珠養殖漁業組合長が支援策に感謝しながらも「現場で起こったことは現場で解決する」として「病気の可能性を指摘されると生産意欲をそぐ。(一過性の)可能性をつないでほしい」

▼背景に「回復基調に乗る」という好環境があるとはいえ、原因の解明が必ずしも業者の声ではないことが浮き彫りに。国や三重大の調査で、感染症や遺伝子の可能性を10月までに明らかにすると明言した知事も思わぬ〝伏兵〟にたじろいでいるのではないか

▼アコヤガイの大量死問題はこれが初めてではないが、原因が病原菌と特定されたのは平成六年の「赤変化」。病原体は特定はされていない。日本の貝より外国産が強いとされ、交雑種が導入されたが、同18年の低水温が主因とされるへい死問題では交雑種に被害が多かった。前者の中心被害地が五ヶ所湾で、後者は英虞湾。過密養殖の漁場汚染も指摘された

▼低水温で外套膜が萎縮、いわゆる「蛇落ち」が発生するとして避寒作業が始まったが、今回は避寒貝が発症し、発育がよく食用プランクトンが不足したという報告。明快に解き明かす説明にそれはそうかもしれないが、というのが組合長の気持ちなのだろう

▼「赤変化」の時のように、病気とされると後が大変という気もあるのかもしれない。