2019年8月30日(金)

▼県立高教諭が生徒に腕立て伏せを強要した問題で、鈴木英敬知事は「体罰は絶対にあってはならない。あまりに認識が甘い」。真っ向唐竹割り。胸のすく裁きで、学校教育法が認める懲戒と禁じる体罰との関係を論じて分かりにくい昨日の本欄に比べ汗顔の至り

▼「生徒が休まなければならない事案」を体罰としたのは、熱中症が予見される中の長時間ランニングを体罰としたスポーツ庁のガイドラインの援用か。机やいすの上に立たせるのは「独善的に執拗かつ過度に肉体的、精神的負荷を与える」ことに相当するとしたのかも知れない

▼文科省が懲戒権として認められる例としてあげる「清掃活動を課す」にしても十数年前、県立高担任と確執のあった娘は連日の掃除当番指示に強いストレスを感じ不登校となり、退学した。学校体育に広く導入されている腕立て伏せだが、過度にわたれば体罰になろう。教室に立たせることは懲戒として認められても、いすや机に立たせるのとはまた別ではある

▼懲戒か体罰かは不断に見直すことが必要。知事はまた体罰教諭訓告の公表が遅れたことも含め県教委に対し「感度がにぶい」。〝不祥事のデパート〟の感の県教委だが、まだほかにも、の痛くないハラを探られかねない

▼3月窃盗と交通事故3人を懲戒処分し、1月は盗撮とわいせつ、旅費不正、交通事故の4人、昨年8月はわいせつ2人、交通事故2人の計4人。その多さにあきれられた。この8月は窃盗1人を免職にしたばかり

▼体罰と重ねまたあきれられたくなかったか。隠ぺいの土壌が育ちつつあるのかもしれない。