2019年8月10日(土)

▼日韓関係の悪化で自治体の交流事業の中止が全国的に相次いでいる中で、県関係では「中止などの対応をした取り組みはなく」、民間や市町の交流事業も「中止などの情報は把握していない」。鈴木英敬知事が記者会見で明らかにした

▼当面は「このような状況だからこそ草の根、文化交流は絶やすべきではない」とする主催者が多いことは確かだろう。心強い。相手のあることで、韓国側からの中止通告も全国的には少なくない。県の交流はそれだけしっかり根付いていることでもあろう

▼前日の駐日名古屋韓国総領事離任訪問で「一人の政治家として(韓国側の主張は)相いれない部分がある」と語った鈴木英敬知事は、この日「筋が通らない」とさらに批判色を強め「過剰な主張はいかがなものか」。「お互いに」という前提付きでその通りだが、いわば逆風の中で踏ん張る県の民間や市町の交流事業の腰を折らぬよう気を配るのも政治家、あるいは行政の長というものだろう

▼「政治家」と「行政の長」の使い分けは知事の特徴の一つだが、政府の輸出管理が故田村元氏だとして「先人を思えば、厳格に(運用)するのは行政として通常」。果たして行政の判断だったか。追い詰めないのが政治手法の一つでもあった田村氏の意に沿っているかどうか

▼知事が経済産業省職員当時に新ココム抵触事案を担当したことは聞いたことがある。対象は中小工作機械メーカーで、この程度で問題になるのかと「驚いた」と語っていた。その体験が韓国への輸出管理の考え方に強く反映されているとすれば、行政マン的ではある。