2019年8月3日(土)

▼「育児男子プロジェクト」で県が男性職員に育児休暇取得を奨励したころ、取得率が上昇したが、妊娠が分かったころから管理職からやれ取れ、それ取れと声を掛けられてうっとうしいという話があった。知事が号令をかけると管理職が目の色を変えるというのが今も昔も、数字に表れない県の体質である

▼「女性登用」が本格化したころ、この人こそと昇格させた職員が数日後辞表を提出した。「家庭と職場の両立は今でも大変。これ以上責任が増えては」が理由。「社会や家庭で女性の役割が変わらぬのに」と冷ややかだった。夫も県職員だった

▼県が募る「県民の声」に、残業代を申請して上司から「本人の責任」と取り下げさせられた話が寄せられた。担当は「職員からそんな相談はなく、真偽が定かではない」。職員の個々の事情や思いを吸収できているのだろうか

▼労働組合ならともかく、県職員が後難を恐れそんな相談はしまいというのが県を長年見てきた体感で、労組に相談をしても何の助けにもなるまいというのが大方の職員の感覚だ

▼「定時までに終わらないのは効率が悪い」からだという指摘は、いかにも上司が言いそうだが、だからできすぎと言えなくもない。「午後8時まではサービス残業」というのは、かつてはそうだったが、今はどうか。残業の事前申請制度が、残業削減の大号令の中で管理職に判を押しにくくさせていそうではある

▼事実関係の真偽を確認しなければなるまい。即答ができないということは、県の働き方改革がまだまだスタートラインにも立っていないことを思わせもする。