2019年7月19日(金)

▼女性向けファッション誌と自民党とのコラボ企画が物議をかもした。特に断りもなかったが、プレゼントのTシャツの袖に党のシンボルマークが印刷されていた。英国では、交流サイト「フェイスブック」流出データを利用してEU離脱派のために個人別に異なるメッセージが送り込まれる事件があった

▼広報戦略はネットと結びついて日進月歩だが、参院選の会員制交流サイト(SNS)の活用は古典的な方法にとどまっているようで、落選運動に活用されているという。県選管が「投票しないよう呼び掛けることはできるが、連絡が取れるメールアドレスなどの表示が必要。虚偽の宣伝は刑法上の問題も」。打つ手はないということだろう

▼落選運動は前回参院選で安保関連法をめぐって展開されたが、一人区では効果が限定される。連想するのは最高裁判所裁判官国民審査だ。衆院選に合わせて最高裁判事を審査する制度だが、×をつける仕組みが落選運動を思わせる。罷免された裁判官がゼロというのが制度の形骸化を物語っている

▼裁判員制度や検察審査会の改革など、国民の司法参加は進んだが、最高裁に限らず、法廷で絶対的権力を振るう裁判官の人となりについて、国民がアクセスする手段は皆無に近い。三権の中で最も伏魔殿と言えなくはない

▼冤罪やハンセン病、原発などの問題で、裁判官だけが責任と無関係の印象もある。先に海外居住者に国民審査の投票権がないのは違憲という判決が東京地裁であった。国政選挙に比べて遅すぎる判断だが、国民の関心と遊離していることが違憲を許す温床だろう。