2019年6月29日(土)

▼地方自治法は行政財産の目的外使用を禁止し、行政財産の目的を効果的に達成できるなど6項目の例外を認める。旧自治省(現総務省)編さんの実例判例集はその場合でも、許可を受けた者が他者に「全部又は一部を転貸しすることは認められない」

▼鈴鹿市は市のスポーツ施設などで市体育協会の自動販売機設置を認めていることについて、そこでの収益が「市のスポーツ振興事業、とりわけ主に体協が担う競技力向上に係る事業に還元していただくもの」と是認する考えを議会で示した。自販機は、メーカーや業者が運営する出店的存在。施設の使用許可を受けた体協が転貸ししている形と言えなくはない

▼法と国の解釈に市は風穴を開けようというわけか。体協の専有許可申請に、市は「熱中症対策を目的としているから市のスポーツ振興理念に合致する」として許可している。法の目的外使用の6条件のうち「適正な方法による管理を行う上で適当と認める」すなわち、熱中症対策は体協の事業とこじつけたか

▼冬はどうなるんだとは、誰も言わない。市の責務を仲介業者に委ね、第三者に転貸ししている形。「市の理念に合致」で済ましていいものでもあるまい。自販機販売益の分配金が体協の収益として計上されている。ネーミングライツなど、財源確保に懸命な市にしてはまことに太っ腹。アイスクリームもあるようなのはほんのおまけということか

▼四角四面の行政としてはまことに柔軟な思考だが、体協以外が期待するとけんもほろろの扱いを受けるに違いない。言うに言われぬ関係があるのかもしれない。