2019年6月16日(日)

▼相次ぐ不祥事に、県は処分を厳格にし、コンプライアンス推進会議や同懇談会を設置、同宣言に全員を署名させて再発防止策を策定したが―その三カ月後、またも生活保護事務の不適切処理が発覚した。がっくりすることもあるまい。一夜漬けが身につかないことは誰もが知っている

▼思えば県は不祥事が発覚するたびに一夜漬けの対策を繰り返してきた。もっとも大がかりなのはカラ出張の対応だろう。今出し切れば不問にするというアメと、後で分かったら厳罰にするというムチで10億円以上にのぼる税金を使った職員の飲み食い代をはき出させ、返還は飲み食いした人もしない人も、課長級以上に一律分担させた

▼正直者がばかを見る決着ということだろう。文書処分以上で叙勲対象にならないはずの部長も、数年遅れで受章した。誰も責任を取らない。国の補助金の未使用額は嫌がられ、いじわるされても一円単位に至るまで返還するとしたが、その後も不適正事務処理は続き、鳥羽港改修事業では公文書改ざん事件にまで発展した

▼最悪の事態になることを回避し、組織にとって最良の選択をするのだから、組織の隅々にまで〝独自判断〟が広がる。公正・誠実、説明責任をうたうコンプライアンス宣言は宣言として、公正・誠実、説明責任のすべてが〝独自判断〟に基づいている

▼あまりに性急な再発防止策策定日程に有識者らのコンプライアンス懇談会から見直しの声が上がったが、予定通りで押し切った。そうしなければならない深いわけがあったのだろう。再発防止とは、何の関係もないことに違いない。