<地球の片肺を守る>家族そろってのコンゴ滞在に

【家族到着後に同僚とキンシャサ国際空港で】

自宅と職場の往復だけだった単調なこちらでの生活に、最近、大きな変化がありました。新年度に入って、妻子が日本での生活を引き払い、こちらにやって来てくれたのです。

日本政府の途上国援助(ODA)の実施機関である国際協力機構(JICA)は、コンゴの治安が近年改善してきていることなどを受けて、当地で国際協力に従事する専門家が家族と一緒に生活することを許可しています。ちなみに、現在コンゴには短期滞在も含め約70人の邦人が在留していますが、その中で長期間、家族同伴で滞在しているのは、わずか数人といった状況です。

今回、環境省の同僚に妻子がキンシャサに来ることを話すと、皆、自分のことのように喜んでくれました。やはり彼らも、私が単身赴任しているより、家族と一緒にこちらで生活し、公私ともに充実した生活を送ってほしいと考えてくれているようです。

そして、家族が到着する数日前になって、突然、職場でプロトコール(国際儀礼)を担当する同僚が私の部屋にやってきました。なんと家族の到着時、私と一緒に空港まで出向いて、入国審査や荷物の運び入れなどを助けてくれるとのこと。24時間を超える長旅でクタクタになりながら、山のような荷物と一緒にやってくるであろう妻子を心配していた私は、職場からの有難い申し出を感謝して受けることにしました。

家族が到着する当日、私たちは渋滞に巻き込まれながら、何とか飛行機の到着時間までに空港にたどり着くことができました。「貴方はここで待っていて下さい」そう言い残し、同僚はさっそうと空港内に消えました。そして15分ほど経ったでしょうか、椅子に座って携帯をいじっていた私は肩をたたかれ顔を上げると、同僚が妻子と一緒に私の目の前に立っていました。

「あれ?もう着いたの!」と驚く私に、妻は「この人が飛行機の中まで来てくれて、特別ルートで私たちを連れ出してくれたの!」と興奮気味に話しました。「お父さん、なぜそんなことをしてくれるの?」と疲れのためか、少しのぼせたような顔で聞く長女に、「日本がコンゴをいろいろと助けてあげているからだよ」と説明しましたが、果たして理解してくれたかどうか…。職場の粋な計らいに少々感傷的になりながら、日頃の支援をコンゴ環境省がしっかりと認識してくれていることをうれしく感じました。

日本ではまだ初夏だというのに、連日、猛暑が続いていると聞いています。こうした中、気候変動問題はこれからが正念場。国際的な対策を定めた「パリ協定」の本格的な開始を来年に控え、今月のG20(大阪)、8月のアフリカ開発会議(横浜)、9月の国連気候変動サミット(ニューヨーク)と続き、気候変動枠組条約COP25(チリ・サンチャゴ)で国際的な議論が締め括られます。

家族のコンゴ到着と受け入れに当たっての職場の心温まるサポート…今後の本格的な支援活動に向けて、大きな力をもらった一日となりました。
【お断り】しばらく休載し、8月25日に再開します。
【略歴】大仲幸作(おおなか・こうさく) 昭和49年生まれ、伊勢市出身、三重高校卒。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。