2019年5月23日(木)

▼「県民の安全安心を確保するため、土砂災害を未然に防止し、生活環境の保全に資する条例を制定する必要がある」と井戸畑真之・県環境生活部長。「既存法令で一定の規制がなされているが、適用範囲や条件が限られている」と尾邊俊之・同部大気・水環境課長

▼建設残土の搬入を規制する「県土砂条例(仮称)を諮問した県環境審議会。鈴木英敬知事が一月方針転換するまで、条例の必要なしと言い続けた同じ口から出た言葉である。「右だろうが左だろうが、知事の考えを制度化するのがいい職員」という理念が北川県政誕生で主流になった。意識改革はものにならなかったが、こちらはしっかり根付いたということだろう

▼「重要な課題」と言ったのは審議会の駒田美弘会長(三重大学長)。「慎重な検討が必要」で「スピード感を持って議論を進めたい」。学者の言葉は難解だが、必要な条例だと言ってるように聞こえたのはまるっきりの思い違いでもあるまい

▼知事の方針転換を「すごい」と県議会で評価したのは地元尾鷲市・北牟婁郡選出の津村衛県議だった。議会が請願を採択しても、その後も議論し、地元からの要望があっても、一向聞く耳を持たなかった県が、知事の一声でがらりと豹変したのだ

▼こんなことならと議会は今、少し無念の気持もあるのではないか。最高議決機関として、議会には条例提出権もある。自ら条例制定に踏み込む選択はなかったか

▼駒田会長が「重要」と太鼓判を押す課題である。県民のため、県と一戦交える覚悟を示せば、県議選の投票率も少しは変わったのではないか。