2019年5月22日(水)

▼憲法改正国民投票に伴うテレビCM規制についての衆院憲法審査会の審議で、インターネット広告についても論議があったという報道があったものの、具体的内容については触れられていなかった。議事録を見て納得した。取り上げられてはいるが、まともな質疑応答がされていない

▼ネット広告を取り上げたのは、参考人の永原伸・日本民間放送連盟専務理事である。テレビCM広告費は今年、ネットCMに首位を奪われるのは確実。にもかかわらずテレビとラジオのCMを規制対象とするなら「広告規制に名をかりた放送メディア規制」だと述べた。これをきっかけにネットCMの影響力について質問が殺到したが、放送事業者の代表がネットに言及するのは適切でないと繰り返し、議論が成り立たなかったのだ

▼「いまやテレビとネットが融合する時代」とも言っているのだから君子危うきに近寄らずの気もするが、ネットの選挙運動利用では米大統領選に見られた通り。トランプ氏に有利な広告を配信したとされる選挙コンサルティング会社は英国でも、EU離脱となった国民投票に深く関与したとされる

▼フェイスブック8700万人分のビッグデータを駆使し、個別の投票者の行動をターゲットにパーソナル広告を配信したというのだ。コンサル社員は「(その手法なくして)英国のEU離脱はなかった」と証言している

▼不正な選挙活動としてフェイスブックには罰金が課されたが、日本には規制する法律はない。報道と広告を一体の表現の自由とする民放連の主張はAI時代にすでに破たんしている気がする。