2019年4月25日(木)

▼「政策集に盛り込んだ取り組みの検討が遅い。課題を矮小化したり、『これで良い』としていないか」と3選後初の政策協議で、鈴木英敬知事は険しい表情で指摘した。庁内に「組織の引き締めが狙い」「3期目でもマンネリにならない姿勢を示したかった」の観測

▼険しい表情も厳しい指摘も、訳知り顔の職員相手では形無し。「部全体で提案力や実現力に元気がなくなっている」「小手先の見直し」などの指摘は、何も今に始まったことではない

▼既存の事業を新規に化粧直しするのは県職員お得意だし、鈴木県政2期目は特に緊縮財政で、大風呂敷はむろん、そこそこのアイデアさえ袋だたきにあうのが知事査定の風景。矮小化や、これでええやろという思考停止がはびこらざるを得ないのではないか

▼子ども・福祉部と雇用経済部だけが知事の矢面に立たされたわけでもあるまいが、3月議会の障害者雇用についての質問に、当局が何度も「把握してない」と答えるのを初めて見た。就労継続支援A型事業の予算先細りで離職者が増えていないかを問われ、雇用経済部長は「国の事業」だから把握していないとし、子ども・福祉部長は福祉事業所だけの数字で「大きく減っている状況にない」と言い切った

▼雇用率さえ上げれば離職しようが、障害の部位で差が出ようが気にならないのだろう。「自立に向け県としてはできる支援をさせていただく」(雇用経済部長)とも

▼「県としてできる範囲でサービスをするというのが県職員。それは県民サービスではない」―北川正恭元知事の言葉だが、誰も覚えてはいまい。