<みえの平成史>日本最古の土偶(平成8年) 松阪で発見、全国話題に

【日本最古の土偶の複製を掲げた高架下の粥見井尻遺跡公園=松阪市飯南町粥見で】

平成8年9月に三重県松阪市飯南町粥見の粥見井尻遺跡から国内最古の土偶が発掘され、全国的な話題を集めた。

縄文時代草創期の素焼き人形で全長6・8センチ。逆三角形の胴体に乳房を貼り付け、頭が乗っている。祭祀用具とみられる。

国道368号のバイパス工事に伴い県埋蔵文化財センターが調査した。遺跡付近は保存のため高架橋に変え、遺跡公園に整備した。掘り出された穴の配置を手掛かりに円形竪穴住居を想像して再現した。

ところが、22年に鈴鹿山脈を越えた西隣の滋賀県東近江市の永源寺ダム近く相谷熊原遺跡で同じ時代の土偶が発見され、「最古」の座が揺らいだ。

だが、一緒に出た土器に付着している炭化物で年代を測定したところ、粥見井尻は1万3200―400年前、相谷熊原は約1万3000年前で、粥見井尻の方が古かった。

両遺跡は、富士山のように形が左右対称に見える山が近くにある景観も共通。粥見井尻は櫛田川沿いの東へ下がる緩斜面にあり、正面に烏岳(545メートル)がそびえる。相谷熊原は北向きの斜面に位置し、北に高野山(684メートル)を望む。両遺跡の近くにはそれぞれ粥見神社、熊原神社を祭る。

25年に富士山が「信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコの世界文化遺産になった。28年には「山・鉾(ほこ)・屋台行事」として桑名石取祭の祭車行事など県内3件を含む33件がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の山岳信仰が世界に認知されている。