2019年1月27日(日)

▼またまた不適切な事務処理の発覚が―というほどの深刻な受け止め方ではないらしい。国が特に重要とする基幹統計の一つ、建築着工統計が、抽出対象を間違ったとかで、少なくとも平成25年度からひと月当たり4―6件、多く数えていた。年間50―70件ほどか。「国や県の施策に影響はない」として、いつもの「県民の信頼を裏切った…」などのおわびの言葉はなかった

▼厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査を受けて点検した結果、半数近い22統計で計31件の不適切処理が見つかったと前日、総務省が公表したばかり。最も多かったのが建築着工統計を含む国土交通省の7件で、総務省は県同様「国民生活に大きな影響はない」

▼誤差の範囲と言いたいのだろうが、大した統計じゃないんですよと、ことさら価値をおとしめている気がしなくもない。2千万人超の失業給付を低く査定し、安倍晋三首相に「アベノミクスで賃金は上がっている」と言わせた毎月勤労統計とは比べるべくもないが、建築着工統計も全国の建築物の着工状況や構造、用途などの動きが分かる唯一の基本統計で、国や県だけでなく、民間の各業界団体や金融機関、各種研究機関などに広く活用されている

▼分析結果は住宅政策はもちろん、国民所得統計の推計や景気指標などに用いられる。データの利用者となると裾野はさらに広がる。県の施策に影響がなくても、国民生活あるいは国民の景況感にまで、影響がないと言えるのか。軽々に断定できまい

▼鈴木英敬知事は「精査するよう担当課に指示した」。精査できるかどうか。