2019年1月26日(土)

▼毎月勤労統計の不正調査問題で外部有識者による特別監査委員会の聞き取りの三分の一が厚生労働省職員が担当し、報告書のたたき台も同省職員が作成していたことが分かって問題となっている。職員の不祥事や事務処理ミスを是正するため、有識者でつくった県のコンプライアンス懇話会には、はじめから「中間案」が提示されている。違うものだと気づかされる

▼特別監査委が原因の解明を主たる目的にしているのに対し、コンプライアンス懇話会は「問題の根本を探る必要がある」という意見はあるものの、再発防止策を策定することに主眼があるからだろう。職員に報告の大半を依存した特別監査委が「中立性」を問われているのに対し、コンプライアンス懇話会は「中間案」というたたき台に基づいて議論する。すなわち職員の意向に沿って最終案を提案することが前提だからかもしれない

▼懇話会という名称が、特別監査委に比べなかなかに柔らかい。打ち解けて話し合う。監督、検査とはおのずから性格が違うわけで、むろん県の懇話会が問題というののではなく、特別監査委が、まるで懇話会だと言いたいだけである。一週間で報告書をまとめたということも、年度内に二回目の会合を開いて最終案をまとめるという懇話会と変わらない

▼報告書の発表で、樋口美雄特別監査委委員長は組織的隠ぺいかどうかの質問にしどろもどろだった。報告書に基づく根本匠厚労相の国会答弁も、持ち前の明快性を損なっていた。与野党ともに批判を強めているという成り行きは、ことの重要性を別にして、うらやましい。