三重県内首長選 今年は4市4町長選

 

今年は4市長、4町長が任期を迎える。統一地方選は津、鈴鹿の両市長と東員町長選。6月に任期満了を迎える朝日町長選も統一地方選で実施する方向で調整が進む。統一地方選の日程は市長選は4月14日、町長選は同月16日にそれぞれ告示し、いずれも同月21日に投開票。今年予想される市長町選を展望する。
◆いなべ市 日沖氏の出馬濃厚
市長選を巡って目立った動きはなく、現職の日沖靖氏(59)の立候補が濃厚とされている。

日沖氏は旧大安町(現いなべ市)長時代を含めると通算24年間首長を務め、在任期間が長い。長期政権からの転換を求める声もあるが、対抗馬は今のところ出てきていない。

日沖氏は、旧大安町(現いなべ市)長を3期務め、平成15年12月の市長選に当選し、初代いなべ市長に。現在4期目。
◆鈴鹿市 末松氏、3期目向け決意
現在のところ、出馬表明しているのは現職の末松則子氏(48)のみ。

末松氏は、昨年の同市議会9月定例議会答弁で「2期8年の取り組みを生かし、真の意味で花を開き実を結ばせるために、さらに力強く取り組んでいく」と、3期目に向けて立候補する意向を明らかにするとともに、「次の4年間も市民の負託に応えたい。未来の鈴鹿市が笑顔あふれる都市であり続けるために、全身全霊で取り組む」と決意を述べた。

末松氏は平成15年から県議を2期務め、同23年の市長選で初当選。現在2期目。
◆津市 前葉氏、3選目指す 対抗馬なく無投票か
現職の前葉泰幸氏(56)が3選を目指して立候補を表明している。今のところ他に対抗馬はいない。今回も無投票当選の公算が大きいと見られる。

前葉市長は昨年12月の市議会本会議終了後、発言を求め「次期津市長選挙に出馬する」と述べた。

前葉市長は元総務官僚。平成17年の宮城県知事選に立候補して落選し、同23年の津市長選で初当選した。現在2期目。

前回は無所属で立候補し、自民、民主、維新、公明の4党から推薦を得た。今回も自民や旧民進系などから推薦を得るため、年明けから各政党と協議する。

自民系の現職市議が立候補に意欲を示しているが、具体的な動きには至っていない。自民党県連幹部が11月下旬の段階で「独自候補を出す予定はない」と断言するなど、前葉氏3選に向けた下地が着々と進んでいる格好だ。
◆松阪市 現新一騎打ちか、竹内氏と海住氏
塾経営の海住さつき氏(53)が昨年4月16日、無所属で立候補すると表明した。前回初当選した現職の竹上真人氏(56)を含め、今のところ他に出馬表明はないが、竹上氏が再選を目指し、選挙戦になる公算が大きい。

海住氏は出馬の動機について「自分が矢面に立って波風を立ててやろうと思った」と語る。「意志決定のあらゆるプロセスに対話を入れていく」と意気込み、市内各所で辻立ちに励んでいる。夫は海住恒幸市議。

前回市長選は、市議会での議案否決や市民グループの市議会解散請求(リコール)不成立を受けた山中光茂前市長の辞職に伴い実施。山中氏との一騎打ちで前々回敗れた竹上氏が山中氏の後継候補らを破った。

山中氏は市政の重要課題を巡って市民が自由に参加できる意見聴取会を開く仕組みを取り入れたが、選挙で選ばれた市民代表の市議の声には耳を傾けない転倒した市政を展開した。市長交代後、否決議案を再び上程するような対決構図を持ち込む市政運営はなくなった。

竹上氏は先月20日の定例記者会見で再選に向けた意思を問われたが、「まだまだ来年度予算編成がある。今の仕事をきちんと全うしていく」と答えるにとどめた。
◆菰野町 石原氏と柴田氏出馬表明 現新一騎打ちの公算
4選を目指す現職の石原正敬氏(47)と、町議の柴田孝之氏(46)が立候補を表明しており、一騎打ちになる公算が大きい。

石原氏は元自民県議で、平成19年の町長選で初当選し、現在3期目。昨年12月の町議会12月定例会で「次の任期も町長としての職責を果たしたい」と続投への意欲を示した。

柴田氏は東大卒の弁護士。28年の町議選に立候補し、初当選した。現在1期目。今年1月から値上がりした水道料金の価格設定に異議を唱え、8年前の議決以来進んでいない中学校給食の実現を訴えている。

石原氏は3期務めた実績を全面に押し出し、防災や社会基盤整備を公約に掲げる。対する柴田氏は石原町政に疑問を投げ掛け、子育てや福祉の充実を訴える。平成23年以降続いてきた無投票当選とは打って変わって激しい選挙戦となりそうだ。
◆朝日町 矢野氏と池田氏、新人2人が名乗り 現職引退表明
現職の栗田康昭氏(68)は昨年12月の町議会で「体調面から断腸の思いで立候補を断念する」と引退を表明。いずれも無所属で新人の元会社社長矢野純男氏(68)と町議池田耕治氏(51)の2人が名乗りを上げた。

矢野氏は会社員を経て松下政経塾の指導スタッフや会社社長を歴任。引退する栗田氏の町政を引き継ぐ考えを示している。

対する池田氏は平成27年の町議選で初当選し、現在1期目。ダンススタジオを経営する。約1800人の署名を集めて中学校給食の実現を目指す。

新人同士の戦いだが、現職栗田氏の事実上の後継者と見られる矢野氏が有利との見方。ただ、体調面を理由に引退する栗田町長と矢野氏は同い年で、矢野氏の年齢は不安要素に映る。一方の池田氏は若さを押し出し、住民の声を町政に反映させたいとしている。
◆東員町 水谷氏、3選続投表明
現時点で立候補を表明しているのは、3選を目指している現職の水谷俊郎氏(67)だけ。

水谷氏は、昨年の町議会12月定例会で町議からの一般質問を受けて「8年間でまいた種が少しは育ってきたが刈り取るまでには至っておらず、もう4年間町政を担わせてもらいたい」と続投への意欲を示した。

水谷氏は元県議で、平成23年4月の町長選で初当選。現在2期目。
◆度会中 現職中村氏は引退表明 選挙戦になる見込み
現職の中村順一氏(70)は4選不出馬を表明しており、選挙戦になる見込み。今のところ、立候補を表明している人はいない。

中村氏は平成19年6月に初当選。昨年の12月議会で「気力や体力に限界を感じており、一区切りを付けたい」と述べ、引退を表明した。後継候補は立てない意向。