2018年12月31日(月)

▼大晦日は難読漢字と言っていいだろう。月の運行の最後で月が隠れる「月ごもり」に、暗くなるので「晦日」の字を充て、1カ月の最終日の「30日」と読むようになり、年末は「大」を加えた。語呂合わせである

▼高校総体での「生き生きと活躍」や障害者雇用率、外国人労働者雇い止めなど、課題が噴出した「共生社会」の意味を併せて鈴木英敬知事が「生」とした今年の漢字一文字も、日本の伝統文化の流れに位置づけることができよう

▼スポーツイヤー2年目として成果をあげた半面、年度始めの機構改革で福祉部門を多機能トイレが整備された四階から未整備の2階に移し、人権保護団体から抗議された。障害者差別撤廃条例制定を目指す中での福祉行政のほころびを垣間見せたスタートだった

▼ブラジル国籍の6歳の女児が昨年、母の内縁の夫から暴力を受けて死亡した事件で県政に目立った動きはなかった。5年前の桑名、四日市市の児童虐待死では被疑者逮捕直後に検証委員会を発足させたことを思うと、外国人との差を連想せざるを得ない。力を入れたところと抜いてきたところ、それぞれそれなりの結果が姿を見せた一年といえようか

▼大晦日定めなき世の定めかな―は井原西鶴の句。何となく平成最後を連想させるが、日産元会長のケタ外れの報酬隠し、産業革新投資機構の高額報酬騒動など、煩悩の筆頭の「貪」すなわち「むさぼり」を印象づけた一年だった。「貧」の字に似ているのが悲しい

▼県の場合は108を構成する「楽、捨、苦」か。除夜の鐘でもなかなかどうして、押し流されそうにない。