2018年12月19日(水)

▼「北川正恭さんは改革、私には防災―知事には(登場した)時代のポイントがあると思うが、どうか」と鈴木英敬知事から聞かれたことがある。その伝でいけば、田中覚氏が四日市コンビナートを誘致し、田川亮三氏が四日市公害の後始末、野呂昭彦氏が北川改革の負の遺産の後始末という構図か

▼東北大震災直後に知事に就任し、防災を公約とし、平成28年には全国知事会危機管理・防災特別委員長に。起用した山田啓二同会会長(当時)の識見をたたえる。防災に並々ならぬ使命感を持っているのは間違いない。そのおひざ元の県防災対策部が、県職員労働組合と県幹部らが政策などを議論する中央労使協働委員会で、慢性的な長時間労働になっているとして、県職労から組織的改善を求められた

▼「同部の何が低下していて、伸びている部局は何を改善したのかを適用し合って発信していかなければならない」と答えた知事の心中やいかに。平成29年12月の同委でも「災害や北朝鮮への対応など、突発的な事案が多く、厳しい状況」と当局側が説明。知事は「新しいことが出てきたときにいかに早急に定常状態に戻すためのマネジメントはどうあるべきかが(今回の)教訓」と語っている

▼今年6月にも、知事は各部局や他県の効果的事例の共有を、と同じような指摘を繰り返した。鳥羽幸也中央執行委員長は「知事の発言の趣旨が伝わるように県職労でもしっかり周知したい」としながらも「言うのは簡単だが、柔軟な発想でぜひ」。行うは難しと言わんばかり

▼負の遺産を次代に託すか。自ら仕上げるか。