2018年12月8日(土)

▼県議会一般質問で、個人的におもしろかったのは日沖正信議員が常任委員会提出資料だとして紹介した「転入超過数推移」だ。昨年度までの4年間の年齢別推移が示されているが、ほとんどの数字に黒三角が付き、印は転出超過数と注釈にある。「転入超過数推移」とは名ばかりで「転出超過数推移」なのだ

▼県が提出した資料の題だけ日沖議員が書き換えたとは考えにくい。常任委が特に「転入」に視点を据えた資料を要求したわけでもあるまい。実態は「転出超過数推移」なのに、ほとんどにマイナスマークを付けて「転入超過数推移」として提出した県の心理がおもしろい

▼人口減対策として県が「まち・ひと・しごと創生総合戦略策定推進本部」を設置したのは平成27年。焦点は自然減対策が合計特殊出生率の向上で、社会減対策がU・Iターン促進。三重労働局と「若年者雇用対策推進宣言」をしているが、強調しているのはU・Iターン対策と就職のミスマッチ解消で、転出超過の中で15~29歳が8割を占めることに注目されたのは本年度からだ

▼推進本部に「若者県内定着緊急対策会議」が設置されたのが4月。呼び込むことから流出防止へ、本格的に着手したのが今年からということだろう。黒三角だらけの「転入超過数推移」は、転入に力を入れてきた名残かもしれない

▼ずっと減少していた80~84歳が昨年、初めて増加に転じた。ずっと増加していた0~4歳が同年初めて減少に。「転入超過数推移」は転出対策の急務とともに、将来を見据えた人口減対策の課題は何かを教えてくれる。