2018年11月10日(土)

▼高校卒業後一年目の同窓会。来賓の政治社会担当の教員のあいさつが革新政党の主張そのままだったのに驚いて旧友と「そういう人だったか」とささやきあった

▼片りんも感じさせなかったのは見事だが、無味乾燥だったその教員の授業が遅まきながら生気を帯びてくる気がした。現実には反発したかもしれないと、いろいろ考えさせられたものだ。選挙年齢の引き下げで高校教育に主権者教育が求められ、教員の政治的中立性が問われているが、県議会もなかなか大変だ

▼出前講座で講義した県議2人が県議定数を巡る発言で「一方的」だったとされ、遅まきながら政治的中立を守るルール作りを始めている。ご丁寧に、前野和美副議長が出前講座先の高校へ「迷惑をかけた」と陳謝に出向いた。主権者教育担当教諭ら3人を同席させ、校長は「個人的な考え」と前置きし「議員の声を聞ける点で大切な取り組み。できるだけ続けてほしい」

▼教員と同じような講義を聞きたいわけではないと言っていないか。生きた政治の話を減衰させては、出前講座を求める意味がない。多数意見側ばかり派遣してしまったからといって、主権者教育から議会が手を引いていいわけでもあるまい

▼県議2人とも、定数問題の採決では討論で持論を開陳している。高校生相手とはいえ、持論を不明瞭にしては見識が問われる。高校生の判断力を軽視していることにもなりかねない

▼一票の格差か地域創生か―定数問題は政治の核心につながる。学者と違い、解決策を提示するのが政治家。議会は、さまざまな意見があることを示すことにある。