2018年10月30日(火)

▼クリスマスといえばかつてはサラリーマンが飲み屋街でどんちゃん騒ぎ、道路を千鳥足で歩き、そこら中にゲロを吐く。今はハロウィーンで若者や家族連れが繁華街に繰り出し、どんちゃん騒ぎをして酒ビンを割ったり、軽トラックをひっくり返したりする

▼クリスマスはキリスト生誕の日かサンタクロースが活躍した記念日か。ハロウィーンは古代ケルト人の収穫祭か仮装パーティーか。そんな由緒などはまあいいじゃないか、我らは我らでみんな一緒に楽しく盛り上がろうぜということだろう

▼酒の力で羽目を外すか、仮面をかぶることで別人になった気で悪のりするか。気分に変わりはないということでもあろう。フランス革命の「7月14日」を原題とするフランス映画の邦訳「パリ祭」の流行でパリ祭を祝って祝杯をあげるのが文化人などの間ではやった

▼祝日法は5月5日を「母に感謝する」日ともしているが、実際に定着している「母の日」は米国由来の5月第2日曜だ。バレンタインデーなど、海外由来の行事が形を変えてもてはやされている。「和魂洋才」は明治維新での日本の精神だが、それ以前には和魂漢才があった。何でも日本式にしてしまう国民性である

▼街にジングルベルがけたたましかった昔、クリスマスイブに津市の教会を複数訪ねたことがある。静かなもので「ケーキは?」と聞いたらエッとけげんな顔をされた。クリスマスにはケーキ、を知らぬはずはなかろうが、そんな俗世間のことは知りませんという意思表示だろう。こちらも若かったせいか、本物は、そうあるべきだと得心した。