2018年9月28日(金)

▼かつて県の教育長が「夜間に報道機関から電話が入るとドキッとする」と語っていた。決まって児童生徒の問題行動の発生で、コメントを求めてくる。「状況が分からんし、だからといって、知らんとも言えない」

▼津市の出生数や死亡数を県が国に報告していなかった問題で、鈴木英敬知事は「こういった事象がいろんな部局で相次いでいることを重く受け止めている」。言葉の深刻さとは別に、げんなりしている様子が伝わってくる

▼知事には国の「少子化危機突破タスクフォース」委員として議論をリードしてきた自負がある。少子化への危機感のあまり産めよ増やせよ式の女性へのプレッシャーを警戒。県の少子化対策の目標値設定には慎重で、結果的に「合計特殊出生率1・8」を設定したが「おおむね10年後を目途に、県民の結婚や出産の希望がかなった場合の水準」などの用心を尽くした

▼結婚、妊娠、出産、育児を少子化対策の一連の流れとして捉えて男性の育児参加を主張。「何と言うかファッション的」として嫌ったイクメン知事の呼称も、厚労省からイクメン・オブ・ザ・イヤー賞受賞を機に「家事育児に参画する男性を増やしていくのが僕の役割」と受け入れた

▼いわば知事の最重要政策の基本とも言える出生数を、担当者がよく覚えていない経緯で消えた。障害者雇用率水増しに続き、一体何をしてくれるんだという気にもなろう

▼あいまいという「担当者の記憶」はともあれいまどきデータを送信したかどうか、特定できないことがあるのだろうか。原因不明の結論には、またかという気もする。