2018年7月28日(土)

▼不適切な事務処理をしていたという50代男性県職員の自宅にダンボール1箱分の公文書があり、貸与期限がとうに過ぎている公用のノートパソコンも見つかった。無断でUSBメモリーを持ち帰って盗難にあった20代女性職員の行動が氷山の一角に見えてくる

▼県庁を担当していたころの庁内放送を思い出す―「今日はノー残業デーです。職員はすみやかに退庁してください」。「ノー残業デー」だから退庁する。あとは明日にということだろう。今は、残業申請し上司の許可を得る。前日、前々日の仕事が積み重なっていくのは自分で何とかしろという構造が、自宅のダンボールになりUSBメモリー持ち帰りとなっているのではないか

▼歯科技工士修学資金を貸与していなかった、障害者雇用対策事業にかかる業者への経費未払いだったなど、22―29年度の8件の大量不適切経理が今年5月、報償費未払いの手話通訳者からの問い合わせで初めて発覚した。昨年度、障害者就労施設から優先的に物品などを調達する制度に問題が発生したが、男性職員にほかにも不適切処理があるとは考えもしなかった

▼本人は「仕事ができない職員だと思われたくなかったので仕事を持ち帰っていた」と話しているという。県は「複数の業務を計画的かつ適切に行うことができず、問題となっている事務処理を後回しにし放置していた」「上司への相談、報告が適切に行われておらず、所属として把握できていなかった」

▼一つの真実を表と裏から説明しているように見える。それぞれ自分の責任をさりげなく回避しながら。