2018年7月27日(金)

▼高校野球三重大会のベスト4が出そろった翌日の報道機関と県幹部との懇親会終盤、鈴木英敬知事が県幹部らを見回し、優勝校はどこだと聞いた。思い思いの解説付きで校名をあげる中、白山高と言ったのは廣田恵子教育長ただ1人。いろいろ前置きがあったが、聞き取れたのは「こうなったら」「できれば」だけだった

▼判官びいきだったのかもしれない。が、東拓司監督が赴任した5年前は部員5人。廃部となってもおかしくない状況からこの春、部員が50人超。県内屈指の大所帯。応援する教職員、OBが年々増え、地域住民も声をかける。「野球で地域も盛り上げていければ」と辻宏樹主将(本紙企画「高校野球百回目の夏)。激励したくなって無理はない

▼津市に合併した旧市町村の中で、旧白山町民の思いは複雑だ。合併に何のメリットもなかったという思いは旧町村共通でも、吉田沙保里さんの活躍で華やかな旧一志町がお隣だけに比べてしまう。旧美杉村に決まった最終処分場に一時名乗りを上げたのも、百年河清をまっても進展しない地方道整備が狙いだったと言われる

▼白山高自体も定員割れ状態で、野球部どころか廃校の標的にされかねない。隣接する県立一志病院がまた、地元の願いで存続になったが、運営で津市と県が押し付け合い。津市が金輪際市立病院に位置づける気がなさそうだから意気があがらない

▼その中での白山高甲子園出場。「下克上」は野球だけにとどまるまい。「地域の思いが結集した」と前葉泰幸市長もたたえる。「地域の思い」に思いをはせる気になったのかもしれない。