2018年7月25日(水)

▼厚生労働相だった柳澤伯夫氏が女性を「子どもを産む機械」に例えて批判を浴びたが、自民党の杉田水脈議員は衆院議員は性的少数者(LGBTなど)は子どもを作らないから「生産性なし」と月刊誌に寄稿し、ネットは反発で炎上したが、先輩同僚議員らからは激励されたという。自民党は人を「生産」のキーワードで見ることが好きらしい

▼「なぜ男と女、2つの性だけではいけないのか」とも言っているが、生物の進化の過程で性はもっと多様性があり、精子と卵子への収束はもっとも環境に適合したからだというのは人類学者、長谷川眞理子総合研究大学院大学学長・教授の説。自然界は2つの性だけではないし、片寄ることも入れ替わることも珍しくはない。男女の性が未来永劫変わらぬかどうかも分からない

▼性同一性障害は、男になるはずが女の体になり、女になるはずが男の体になったという医学的概念である。男女の性別が唯一無二であることを前提にした概念だが、性はもっと複雑なものではないか。ゲイ、レズビアンがいて、自認する性が体と別だったり変化したり。人間にあらかじめ組み込まれている生物としての名残かもしれない

▼体は女性の同一性障害という同僚に「男性経験はなしか」と聞いたことがある。自分を理解し、学生時代をともにしてきた親友に襲われたという。どうでもしてくれという自暴自棄の気になり、自分の体を呪ったと、それまでと打って変わった暗い声で答えた

▼ほんの軽い気持ちの興味本位の質問だったがどれだけ傷つけたか。時が過ぎるほど胸に深く刺さってくる。