2018年6月14日(木)

▼中部電力は大阪ガスと組んだ新会社で、8月から首都圏で都市ガスや電気の販売を始める。東邦ガスとのエネルギー戦争はひとまず休戦ということか

▼「戦争」と言えるかどうかは異論もあろうが、昨年4月のガス小売り自由化に備え、数年前から中電が攻勢を掛けていたことは間違いない。テレビCMでも電力、ガス一体購入の格安効果を大々的に訴えていたし、報道機関との懇談会でも、ガス小売りへの進出に向けて、東邦ガスを標的にシェア獲得戦略を語った

▼浜岡原発休止以来の経営悪化で、なりふり構わず黒字転換を目指すお家の事情が背景にあり「新電力はじめ、電力シェアは浸食されている。ガスに乗り出すには、相手は東邦ガスしかない」(中電津支店幹部)。〝宣戦布告〟を十分承知で東邦ガスは、しかし目立った反転攻勢の姿勢は見せない。「うちは地味な会社で、派手に迎え撃つなんてことはしませんが、考えてはいるんです。見ていてください」

▼「東邦ガスさんはずるいんじゃないか」と中電が言い出したのは2月ごろだ。「幹線(導管が敷設されているルート)と言っても伊勢湾沿い程度で、内陸に入るとずたずた。あれで都市ガスと言えるのか」。伊勢湾沿いも含めてLPガス業者がひしめき、それぞれ地域経済の中で複雑に絡み合っていてとても整理ができない。東邦ガスも系列にはしてもあえて整理しようとしていないのではないかと思えるというのである

▼首都圏へのターゲット変更で県内に見切りをつけたのかもしれない。自由化の恩恵はどうやら県民には縁のないものになりそうだ。