2018年3月21日(水)

▼マイノリティー(少数者)の調査をするのにマイノリティーを排除する。県男女共同参画センター「フレンテみえ」の高校2年を対象にした「多様な性と生活」の調査には、そんな違和感をぬぐえない

▼全日制の調査結果だけで報告書とし、定時制・通信制と特別支援学校は集計に含めなかった。「全体的な傾向が大きく変わるため」という。調査を積み上げて傾向を探っていくのではなく、外れそうな部分を排除して導いた「全体的な傾向」というのは、何かの冗談だろうか

▼貧困にしろ、障害者にしろ、マイノリティーの問題は社会的弱者の中でもっとも深刻で、複雑な形で表れている。たとえば全国31校の公立夜間中学校生1800人の7割は中国、韓国、フィリピン、ベトナム、ネパールなど外国人労働者。中学校は「卒業証書授与機関」になっているというのが前川喜平前文部科学事務次官の講演趣旨だ

▼定時制高校はそんな現実に近接しているに違いない。マイノリティーの現実を見ようとしてこなかったマジョリティーの歴史が県男女共同参画センターの姿勢にも表れているということか

▼鈴木英敬知事は「ダイバーシティみえ推進方針」の中で「一人ひとりちがう、いろんな人がいる。一人ひとりを大切に、たがいに思いやり、とも輝きあう そんな社会にしていきたい」として「未来に向けて、ダイバーシティの風を 三重から」と説く

▼県ダイバーシティ社会推進課は「調査自体を委託したわけではないため、県の意向を反映させるには限界があった」。風は、三重県内にさえ吹いていなかったようだ。