2018年3月19日(月)

▼「(継続性が担保されず)事業が単年度で終われば、準備品をもらえた子ともらえなかった子の公平性が保たれない」と、入学する小中学生にランドセルなど現物支給する新規事業を削除した度会町議会の議員らが語ったという。代案の給食費の3割程度補助を承認。こちらは「事業の継続性よりも全ての児童生徒が対象になる公平性を重視した」

▼「公平性」が問われた判断についてぜひ聞いてみたかったのは鈴木英敬知事のコメントだ。カゴメとの県産農林水産物の活用拡大などの包括協定に対し、鈴木知事は「戦略的不平等」だとあちこちでアピールしていたからだ

▼たとえ不平等でも戦略的に企業と提携してビジネスに取り組んでいくべきだというのが「戦略的不平等」。「公平性が大切」だと行政がビジネスチャンスをつぶしてしまうのが「悪平等」すなわち悪い平等論というのだ

▼かつて企業優遇で、海洋汚染や四日市公害を発生。原因企業の一つ、石原産業との県環境事業団を通じた連携が土壌埋め戻し剤としてのフェロシルトを県リサイクル製品認定につながり、広範囲に土壌汚染を引き起こした。シャープへの巨額な補助金が「反省材料」とは知事もたびたび言及している。東芝経営者への過度の依存が不祥事とともに多少の混乱をもたらした

▼その時々の知事が〝戦略的不平等〟のつもりでゴーサインを出したものには違いない。現物支給も給食費補助も事業が中断すれば受益者にばらつきはできてくる。「公平性が大切だとして、せっかくの子育て支援のチャンスをつぶしては悪平等」と言うかどうか。