2018年3月2日(金)

▼3月稼働予定の中部電力・西名古屋火力発電所(愛知県飛島村)を県内報道関係者と見学したのは2月20日だった。この最新鋭機の前に尾鷲三田火力発電所が廃止になるのか。懇談会でそう聞いたら「まだ何も決まっていないんです。報道されているが、うちからは何も」

▼その7日後、中電は来年度中の廃止を正式決定した。何を今ごろ眠たい質問をと、懇談会ではせせら笑われていたかという思いがちらっと頭をかすめたが、似た感覚を体験したことがよみがえった。昭和59年、最新鋭機三田火力3号機の地元承認が大詰めの時だ。地元協力金3億円の上積みを巡って中電と尾鷲市が対立していた

▼途中入社で県庁担当になったばかり。尾鷲市と名古屋発の報道が飛び交うのを一人カヤの外で見守った。「中電も大会社なんだから少し将来も考えて地元の声をだね」。そんな知事会見の断片を記事にした

▼「将来も」が、芦浜原発の行方を示唆しているのは明らか。中電社長もカチンときたか。記者会見で「三重県はマスコミを使って世論操作している」と痛烈に反発した。その日に「今日、知事が中電本社に行ってるでしょ」と耳打ちしてくれた人がいた。まさか

▼県関係者に確認すると誰も否定しない。「知事しか答えられんよ」という人も。慌てて「妥結」の記事をねじ込んだ。その後の芦浜原発を巡る流れで、中電関係者とは信頼関係を築けたが、平成12年の白紙撤回ですっかり遠のいた

▼伊藤整・尾鷲商工会議所会頭が「時代の流れでやむを得ない」。私事に過ぎないが、34年前に戻った気がする。