2018年2月15日(木)

▼犯罪の摘発率向上を研究した県の若手や中堅の職員らでつくるグループが、県全域を「DNA型情報捜査特区」に指定し、DNAの強制採取を提案した。最高裁が禁じた令状なしGPS捜査をした県警が安全を担う県らしくはある

▼「早く容疑者を検挙したくて」というのが、違法捜査した警部補の言い分。「犯罪捜査を効率化させる強制的な採取は認められていない」のが、「特区」指定を提案した県職員グループの理由。「法整備など」を前提にしているのが、最高裁判断を無視した警部補との違いだが、ともにプライバシーなどへの配慮が二の次になっている

▼「テクノロジーの活用や新しい価値の変化に対応する姿勢も良かった」という鈴木英敬知事の評価も、便利さだけが強調され、負の側面がおざなりにされがちなIT時代の危うさを感じさせる。「特区」は、既存の法や規則を緩和させるための特例措置で、いわゆるジョーカー。県が抱える課題の解決法を探るというのにジョーカーを持ち出すのは、若手のアイディアとしては思考停止、安易過ぎる気がしないか

▼児童虐待対策としての保護者へのストレスチェック導入も、行政マンの提案としてはどうか。「ストレスを抱える保護者に虐待の割合が高い」という市町の聞き取りからの提案というが、ストレス解消策ではなく、ストレスチェックを導入するという

▼法改正で県が県職員のメンタルヘルスの一環としてストレスチェック制度を導入したのが平成28年度。若手らしい柔軟な思考というより、管理社会を目指す危険な兆候が芽生えてはいないか。