2018年1月25日(木)

▼草津白根山噴火で、専門家らの発言が心もとない。気象庁の斎藤誠火山課長は「噴火の前に火山活動の高まりを示すような観測データは見られなかった」。噴火速報についても「観測された火山性微動が噴火に伴うものか即座に判断できなかった。残念ながら速報が出せなかった」

▼第1報は草津町から、続報も東京工業大からで、警戒レベルを1から3に引き上げたのは1報から2時間後。根拠をもっぱら観測データのせいにしているが「次に噴火するのは湯釜など山頂火口だと思った」。実際噴火した2キロメートル以上離れた「鏡池」付近で、観測機器などほとんどなかったのだから、観測機器が集中する「湯釜」周辺で観測された火山性微動をどう判断するかにノウハウの持ち合わせがなかった可能性は否定できない

▼火山予知では、初めて事前に緊急火山情報を出した平成12年の有珠山噴火で、144時間後に噴火すると予告しぴたりと当てて「有珠山の主治医」と呼ばれたのが北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センターの岡田弘教授(当時)がいる。その岡田教授が、やはり警戒レベル1で噴火して58人の犠牲者を出した26年の御嶽山噴火の際、14年間にわたる国の火山研究に関わる予算削減について語っていた

▼研究者を育てず、観測機器で代用していく。継続的に観測する研究者がいなくてはできるはずの予知もできないというものだった。それから3年。国は修正を図ったというが、一度枯らした大地に芽を出させ、果実を得るのはそう簡単でないことを今回うかがわせていないか。